「オレも子供、好きだしね。子供のためって言われたら反撃できない。ツライことはツライよ。
でも、野球界のためになるならね。子供たちに感動してもらえるなら。未練たっぷりなんだけど、しょうがないよ」
「普段は印刷の仕事を自営で細々とやっています。甲子園期間中は、姉が印刷所を切り盛りしている。
あとはアパートも貸しているから。家族？　独身だよ。奥さんがいたら甲子園、行けないよ（笑い）」
「春は寝袋で寝る。夜はものすごく寒いよ。命、懸けてる。以前、寝ていたら泥棒が来たこともあった。みんなで怒鳴ったら、バーッと逃げちゃったけど」
「１１、１２万円あればできますよ。チケット代が２万円。甲子園の近所のお世話になる人に、草加せんべいなどを買っていく、おみやげ代が１万円。大阪までは高速バス。
今は片道５０００円で行けるから。高校生も修学旅行で海外に行く時代なのに、４９歳の男が何やってんだって話だけどね」
「夜は周辺を散歩している人がお弁当やお菓子などを差し入れしてくれるんだ。『気をつけてね』って。ラガーシャツの差し入れも多いよ。
お風呂はね、自転車でスーパー銭湯に行く。自転車は期間中、地元の年配の人に借りている。毛布も貸してもらっているよ」
「ダル、マー君、マエケン、大谷、藤浪…みんな生で見てきた。たかが野球観戦なんだけど、オレにとっては『されど野球観戦』。
夏は、負けた選手たちがみんな声を出して、泣きながら帰る。テレビには映らない、そんな人間模様を目の前で見られるわけだから」
「これで行かなくなったら『テレビに映りたかった、ただの目立ちたがり屋』って言われてもしょうがない。観戦、やめないよ。
オレは甲子園と高校野球を日本一愛している男と自認しているからね。オレの観戦魂、全然変わらないから」
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